ベトナム株式市場に参入する日本人投資家が知るべきこと

# ベトナム株式市場に参入する日本人投資家が知るべきこと

近年、アジアの新興国市場として注目を集めるベトナム株式市場。経済成長率の高さや若い人口構成、外資規制の緩和などを背景に、多くの日本人投資家がベトナム株式への投資を検討しています。しかし、魅力的な市場である一方で、日本とは異なる独自のルールや特徴があります。この記事では、ベトナム株式市場に参入しようとする日本人投資家が知っておくべき重要なポイントを解説します。

## ベトナム株式市場の基本構造

ベトナム株式市場は主に2つの取引所から構成されています。ホーチミン証券取引所(HOSE)とハノイ証券取引所(HNX)です。時価総額の大きい優良企業はHOSEに、比較的小規模な企業はHNXに上場しています。また、新興企業向けのUPCoMという市場も存在します。

取引時間は日本とほぼ同じで、午前と午後のセッションに分かれています。ただし、昼休みが設けられているため、休憩時間が長いのが特徴です。

## 投資口座の開設方法

日本人投資家がベトナム株に投資するには、主に3つの方法があります:

1. **現地証券会社での口座開設**:ベトナム現地の証券会社で直接口座を開設する方法です。HSBCやVNDirect、SSIなどが外国人投資家向けにサービスを提供しています。現地に行く必要がありますが、手数料が比較的安く、銘柄選択の自由度が高いのがメリットです。

2. **日系証券会社を通じた投資**:SBI証券などの日系証券会社を通じて投資する方法です。日本語でのサポートが受けられるメリットがありますが、取扱銘柄が限られる場合があります。

3. **ベトナム株投資信託の購入**:最も手軽な方法で、日本の証券会社を通じてベトナム株に投資する投資信託を購入する方法です。個別銘柄選択の手間が省ける一方、運用管理費がかかります。

## ベトナム株式市場の特徴と注意点

1. 値幅制限が厳しい

ベトナム株式市場では、1日の株価変動に制限があります。HOSEでは前日終値から±7%、HNXでは±10%の範囲内でしか取引できません。これは市場の安定を図るためですが、大きなニュースがあった場合、数日にわたって制限一杯まで動く「ストップ高」「ストップ安」状態が続くこともあります。

2. 外国人持株比率の制限

多くの業種で外国人投資家の持株比率に上限が設けられています。銀行業は30%、その他一般企業でも49%などの制限があり、人気企業では外国人枠が埋まっていることもあります。投資前に必ず確認しましょう。

3. 情報の非対称性

英語や日本語での情報が限られており、現地語(ベトナム語)でしか情報が得られないケースも多々あります。企業分析をする際は、この情報格差を認識しておく必要があります。

4. 流動性リスク

大型株を除くと、流動性が低い銘柄も多く存在します。売りたい時に売れない、または大幅な価格下落を招くリスクがあるため、投資する際は流動性も重要な判断基準となります。

## 有望セクターと注目企業

ベトナムでは特に以下のセクターが成長著しいとされています:

– **製造業**:人件費の上昇を背景に中国からの生産移管が進んでいます。
– **小売・消費財**:中間所得層の拡大に伴い、消費市場が急成長しています。
– **不動産**:都市化の進展で住宅需要が高まっています。
– **銀行・金融**:銀行口座保有率の上昇やデジタル金融の普及が見込まれています。

注目企業としては、乳業最大手のVinamilk(VNM)、IT大手のFPT Corporation(FPT)、不動産大手のVinhomes(VHM)などが挙げられます。

## 税金と送金について

ベトナム株式投資で得た利益には、売却益に対して0.1%の税金が課されます。配当金には課税されませんが、5%の源泉徴収税が差し引かれます。

また、投資資金の国外送金には規制があり、正規の金融機関を通じて行う必要があります。送金手続きは複雑な場合もあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。

## まとめ

ベトナム株式市場は高い成長ポテンシャルを秘めていますが、日本とは異なる独自の特徴やリスクがあります。投資を始める前に、市場の仕組みや規制、情報収集方法をしっかり理解しておくことが重要です。また、長期的な視点で投資し、一時的な変動に一喜一憂しない姿勢も大切です。

新興国市場特有のボラティリティは高いものの、アジア経済の将来性を考えれば、ポートフォリオの一部としてベトナム株式に投資することは検討に値するでしょう。十分な調査と準備を行った上で、ご自身の投資スタイルに合った方法で参入されることをお勧めします。