ベトナムと日本、似ているようで異なる食事のマナー

# ベトナムと日本、似ているようで異なる食事のマナー

食事のマナーは、その国の文化や歴史を強く反映するものです。日本とベトナムは同じアジアの国でありながら、食事のマナーには似ている点と大きく異なる点があります。海外から来た方々との食事の場や、ベトナムへ旅行する際に知っておくと役立つ食事マナーの違いについてご紹介します。

## 共通点:箸の文化

日本とベトナムの最も顕著な共通点は、「箸」を使うことでしょう。両国とも主食と一緒におかずを食べる際に箸を使用します。しかし、その持ち方や使い方には微妙な違いがあります。

日本では箸の持ち方に厳格なルールがありますが、ベトナムではやや自由度が高く、効率よく食べられれば問題ないという考え方です。また、ベトナムでは箸とスプーンを併用することが一般的で、フォーやブンなどの麺類を食べる際には、スプーンで汁を飲みながら箸で麺をすくうというスタイルが主流です。

## 食事の順序の違い

日本の食事は「一汁三菜」に代表されるように、ご飯とおかずを交互に食べるのが一般的です。一方、ベトナムでは、料理が一度にテーブルに並べられ、好きな順番で食べることが多いです。

特に家庭料理では、テーブルの中央に数種類の料理が並び、それを各自が自分の取り皿に取って食べるスタイルです。このスタイルは、日本の「取り分け」に似ていますが、より自由度が高く、自分の好きなタイミングで好きなものを食べられます。

## 音を立てることへの考え方

日本では食事中に音を立てることは基本的に避けるべき行為とされていますが、例外的に麺類をすする音は許容されることがあります。

対して、ベトナムでは食事中の会話や音に対してより寛容です。特に熱いスープや麺を食べる際の音は、美味しく食べている証として自然に受け入れられています。また、食事中の会話も活発で、にぎやかな雰囲気の中で食事を楽しむことが一般的です。

## 食事の時間と場所の認識

日本では食事の時間や場所がある程度決まっており、「食事は食卓で」という考え方が根強くあります。

一方、ベトナムでは食事の時間と場所に対する考え方がより柔軟です。特に朝食は路上の屋台で取ることが一般的で、忙しい朝には立ち食いや歩きながらの食事も珍しくありません。この点は、日本の「食事は座って、決まった場所で」という考え方とは対照的です。

## お酒の飲み方

日本の「お酌」文化は世界的にも特徴的ですが、ベトナムにも似た文化があります。ベトナムではお酒を飲む際に「モット、ハイ、バー、ヨー(1、2、3、飲む)」と掛け声をかけながら、グループ全員で同時に飲むことが一般的です。

また、ベトナムでは宴会の席で乾杯の挨拶をする際、グラスの高さを年長者より低くするという日本と似たマナーもあります。ただし、日本ほど厳格ではなく、和気あいあいとした雰囲気の中で行われることが多いです。

## 食事のお礼の言い方

日本では「ごちそうさま」や「いただきます」といった食事の前後の挨拶が重要視されます。

ベトナムにも食事の前後に言う言葉はありますが、日本ほど形式的ではなく、特に若い世代では省略されることも多いです。ただし、目上の人や招待された場合には、食事の後に感謝の意を表すことが一般的です。

## まとめ

日本とベトナム、同じアジア圏でありながら、食事のマナーには興味深い違いがあります。これらの違いを知っておくことで、異文化交流の場面でも戸惑うことなく、相手の文化を尊重しながら食事を楽しむことができるでしょう。

国際化が進む現代において、食事のマナーを含む文化の違いを理解することは、相互理解と尊重のための第一歩となります。機会があれば、ぜひベトナム料理を本場で味わい、その食文化を体験してみてはいかがでしょうか。